Asics-Gel-Lyte-III-OG-01-730x512
ASICS Tigerのこれまでとこれからについて自分なりに分析してみました。

スポーツブランド世界3位の座をPUMAから奪取すべく、攻略のカギとなっている"脱・競技者思考"のもとファッション性とスポーティさを両立したカジュアルブランドとして送り出されたASICS Tiger。昨年初頭、ショー形式で華々しくデビューを飾ったのち、Gel-Lyte III 25周年コレクションをはじめとするコラボレーション企画が話題を呼び1年を通して業界を賑わせました。そんなアニバーサリーイヤーを終えた2016年、次なる一手が期待されたものの、やっている事といえば毎週のGel-Lyte IIIとVのラインナップ更新と不定期に発生するショップコラボ。前年と特に変わりが無く、同ブランドは早くも手札切れを起こしている気がしてなりません。一方でライバル視するPUMAはというとadidasのBoostフォームを完コピしたNRGYフォームProknitテクノロジーを発表するなど、時代の流れに真正面から食らいつく貪欲さを見せています。カジュアル向けシューズ市場が全てではないとはいえ、これまでの期間でブランドとしてのフットワークの違いが浮き彫りとなった印象です。そんなわけで、この1年半の間ASICS Tigerを追いかけてきたド素人の見地から、徐々に見えてきた弱点やライバルブランドとの差異を洗い出してみました。



ASICS Tigerブランドが思ったより浸透していない
gl31
国内もそうですが、復刻以前からファッション用途のGelシリーズが親しまれてきた欧米では特に新生ASICS Tigerが浸透していない傾向にある気がします。色々なメディアやショップといった公式的な場であっても"ASICS Tiger Gel-Lyte"とはならず、多くはいまだ"ASICS Gel-Lyte"のまま。神経質なようですが、ASICS TigerはOnitsuka Tigerと同格の新規ブランドのため、親玉であるASICSとは異なる立ち位置の存在なのです。とはいえ、ASICS Tiger製シューズを実際に手にとってみると、この認知度の低さにも頷けます。シューズ本体・外箱・商品タグのどこをとっても"ASICS Tiger"の文字が記されていないのです(タグに記載されているURLだけは例外的にasicstiger.comでしたが)。実はASICSASICS Tigerは唯一ロゴマークの違いによって区別されているのですが、この事を知っている人は果たして何%いるのでしょうか。ただでさえブランド名がややこしいのに、ロゴにも大した違いが無いとあって普通の人間が両ブランドを別物として認知するのは困難。わざわざASICSとは切り離した"第3のブランド"として新規立ち上げを行ったにも関わらず、その境界線が曖昧なのです。特徴的な当時のロゴを使うことはできないのでしょうか…。私個人の体験したエピソードとしては、ある日新品箱付きのキズひとつないGel-Lyte IIIを某古着屋チェーンに持っていったのですが、たったの50円査定にしかならなかったのです。使い古したスケートシューズでも普段はもっと値が付くのにこの異常な安さ、その店員はやはり"ただのアシックス"だと思ったに違いありません。

インライン商品に買うものが無い
asi_4994807851032_black_white02
単なる思い込みである可能も否定できませんが、ASICS Tigerの通常展開商品は90年代風カラーとモノトーンで二極化しており、ラインナップ豊富と見せかけて実際あまり選択肢が多くありません。ブランドテーマでもある90年代風の鮮やかなカラーを多用したモデルは、オジサンがかつての若者文化を思い起こしてデザインしたようなどこか垢抜けない仕上がりのものが多く、結局のところどの層に向けて販売しているのかいまいち分かりません。一方でシンプルなモノトーンのモデルは実用的で個人的にも大好きなのですが、1~2足買えば十分満足してしまいます。決してビビッドカラーを際立たせたモデルが悪いという事ではなく、Air Max 1 Essentialのような全体的なバランスを重視した使い勝手の良いカラーの品揃えももっと強化してほしいのです。

そろそろGel-Lyte III以外の看板商品を…
aa
HypebeastやHighsnobietyといったオンラインメディアのASICS Tiger関連記事でしばしば見られるユーザーコメントが"またGel-Lyte IIIかよ"という内容のもの。確かにGel-Lyte III以外のラインナップはキャラクター性がやや薄く、どうしてもIIIにばかり目が行ってしまうのも分かります。GT-DSGel-Lyte One Eightyなどの新しい顔ぶれもあるにはあるのですが、残念ながらこれらはビックリするほど人気がありません。かのRonnie FiegもASICS Tigerというブランドの今後について、"新製品を出し続けることでブランドを進化させ、他ブランドとの差別化を図ることが大切"と現在の状況についてやんわりと触れています。VansにAuthentic、Old Skool、Sk8-Hi、Half Cabがあるように、ASICS Tigerにもあと数足看板商品が欲しいところです。

ランニングにこだわりすぎでは?
as
ASICSといえばまず思い浮かぶのがランニングシューズですが、バスケットボールやバレーボール、テニスなどのシューズにも強みがあるというのは誰もが知るところ。 80~90年代にかけてASICS Tigerも数多くのスポーツシューズを手がけており、これらを今ファッションユースとして改めて出さない手は無いと思うのです(もちろんOnitsuka Tigerとの兼ね合いはありますが)。正直言って現在のASICS Tigerというブランドに初めて触れる人にとっては、そのラインナップ全てが同じランニングシューズに見えてしまう事でしょう。ここにテイストの異なるスポーツシューズを新たに加え、消費者に選択肢を用意する事でより多くの需要が取り込めるのではないでしょうか。Air JordanやStan Smithほどにはなれずともデザインや宣伝次第で人気が出てもおかしくないと思うのですが、日本では部活のイメージが強すぎますかね?

Twitterをあまり活用できていない印象
sad
例えば、Twitterで"ASICS"と検索すると世界各国のASICSアカウントと関連アカウントが無秩序にヒットし、どれが公式・非公式なのか、どれをフォローすれば目当ての製品情報が得られるのかという事が非常に分かりづらくなっています。トップアカウントとして真っ先にヒットするのが最もユーザー名のシンプルな@ASICSBrazilというのも好ましくありません。ASICS Tigerにおいてもアカウント乱立の傾向にあり、特段必要性がある訳でも無いのに日本、アメリカ大陸とヨーロッパ各国、南アフリカとおよそ8カ国にアカウントを分散させているせいでそれぞれのアカウントが伸び悩んでいる状況です。オフィシャルかどうかすら謎の@ASICSTigerFRに至ってはツイート数0、フォロワー数10人程度という捨てアカ状態。こんな事になるなら@NikeLabのように誰もが公式と分かるアカウントを単独で立ち上げた方が良かったのではないでしょうか。

オフライン販売に偏重しすぎでは?
無題
今度は販売方法に関してなのですが、公式オンラインストアがあまりにもショボすぎるのです。ほとんど商品が循環せず、オンラインはいつ訪れても同じ定番品の顔ぶれ。企画やセールの開催も無く、ブランド立ち上げ時のラインナップが今もなおフルプライスで販売されています。コラボモデルのような需要の高い商品の取り扱いは都市部の実店舗に限られ、公式オンラインストアで販売される事は基本的にありません。オンラインによる限定商品の争奪戦については賛否両論ありますが、私個人としてはASICS TigerもNikeやadidasに倣ってオンラインストアの賑やかしとして活用してみてもいいと思うのです。どうせ手に入りそうもない限定商品を呼び水にオンラインユーザーを一時的にでも増やし、不人気商品は潔く割引価格で販売するというのも1つの手です。また、限定商品のオンライン販売を事前に告知するだけでSNS、ブログ、ファッションメディアへと大規模に拡散され、図らずとも相当な宣伝効果が得られるはずです。こういう時にこそ公式Twitterの存在が活きてくるのではないでしょうか。

アパレルってどうなったの

asics-relaunches-its-lifestyle-line-as-asics-tiger-3
2015年のはじめにASICS Tigerの復刻が発表された際、実はアパレルコレクションの展開も同時に予告されていました。しかし実際にフタを開けてみるとリリースは1年半の間にReigning ChampコラボとBeams & Mita Sneakersコラボの2回にとどまっており、アパレルブランドとして機能しているかというのは少々疑問が残るところです。その上、これら2つのコレクション間で共通したデザイン要素というものは無く、ブランドとしての形が全く見えてこないのも考え物。復刻スタート時のお披露目会では、モデルにC.Eを着せるなど90年代を踏襲した若者向けブランドをアピールしていましたが、どうせならこれくらいガチの90年代風ストリートウェアも出してみるというのはどうでしょう?あくまでモダン志向というのならいっその事アパレルもRonnie Fieg率いるKITHに任せてみるというのも面白そうです。

ファッションアイコンとなるブランドアンバサダーを立てるべき
000354029W
DrakeといえばNike、Kanyeといえばadidas、RihannaといえばPUMA。予算が許すのであれば、ASICS Tigerにもそろそろブランドの広告塔となるアーティストを立てたほうが良いと思います。人気ラッパーWaleとのコラボは継続的に行われていますがファッションアイコンとなり得るかどうかは微妙。昨年7月の時点でChris BrownがASICSとのコラボを"coming soon"としていましたが現在に至るまで音沙汰無し。全世界のストリートシーンで支持を集め、日本のサブカルチャーにも造詣が深く、Rihannaとのしこりを抱える彼となら相性バッチリだと思っていたのですが一体何があったのでしょう。Chris BrownとASICS Tigerが契約してくれたらいいのになあ…。

【追記】当記事作成後、Twitterにて早くもASICS Tigerの来年度向け商品がリークされていました。ニット素材アッパーと特徴的なリブ状履き口を見るに、ASICS Tigerも他ブランドと同様、やはりadidasに寄せてきていますね。2017年は一味違った商品展開となりそうで今から非常に楽しみです!